兵藤 育子

海も山も近くにある、山形県酒田市で生まれ育ったライター。山育ちの亡き父に山菜採りやキノコ採りに連れて行ってもらったのが、自分にとっての森の原風景。主な執筆ジャンルは、旅、映画、本、漫画、人物インタビューなど。写真は熊野古道の大雲取越。

夢中にさせる森

鳥を追いかけ北米大陸を駆けめぐる 「アメリカ人は何でも競争にする」『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』で、とある光景を見た人がこう嘆くシーンがある。たしかにあまりにも熱狂的で、滑稽だったりもするのだが、モチーフとな […]

シェルターとしての森

なぜ森は心が安らぐのかその答えが意味する真実 絵画のように美しくも、どこか不穏な空気が漂うメインビジュアル。制服を着た、ひと目見ただけでは男性とも女性とも判別のつかない人物が、こちらをじっと見つめて森の中に立っている。足 […]

自然に還る

土地や肉体に宿る、無数の記憶と痕跡をたどる 世界が情報とマネーで覆い尽くされたように見える現在だからこそ、その分厚い壁の裂け目からほとばしる現実の力や、「自分探し」では決してたどり着くことのできない豊饒な神話の源流に、私 […]

森を歩く

ゲリラ兵と歩き続けた西南シルクロードとは? 「ジャングル・ウォークも楽しいぞ、ハッハッハ。まあ、もう雨季がはじまったみたいだから、あんたらにはちょっとキツイかもしれないがね。ほら……」ドカーンと、凄まじい雷が落ちた。(本 […]

森の生業

人間ではなく木の立場から森を理解する森林管理官 “社会の真の価値は、そのなかのもっとも弱いメンバーをいかに守るかによって決まる”という、職人たちが好んで口にする言葉は、樹木が思いついたのかもしれない。森の木々はそのことを […]

森の恵み

森で育まれた“最高品質”の巨大生物 『パラサイト 半地下の家族』でカンヌ国際映画祭パルムドールと、アジア映画として初めて米アカデミー賞作品賞を受賞し、世界中を驚かせたポン・ジュノ監督。ともすると説教くさくなりそうな社会問 […]

静かなる森の住人

森で暮らす一家が外の世界で見つけたもの 現代社会と距離を置いて暮らそうと思ったら、人はどこに居を構えるのか。海の近くや無人島もいいが、木々に覆われ、静かで、食べるものや飲み水に困らず、煩わしい人付き合いも限られている森は […]

森の入り口は
異界への入り口

孤独な少女が踏み入れた森から始まる迷宮の世界 森は“こちら”と“あちら”の世界をつなげる場所だ。『白雪姫』や『ヘンゼルとグレーテル』などグリム童話に登場する魔女は森の中に暮らしているし、鬱蒼として昼間でもあまり光が差し込 […]