森の中でサバイバル生活をしたり、独りキャンプをしたり……〈静かなる革命〉では小さな自分だけの革命を実行している人やシーンを取り上げます。革命の第一歩は、動画サイトやニュースなどで近頃話題になっている“山を買う”ことについて。実際の山の買い方について、不動産会社で山林売買を担当する「すみれリビング株式会社」の木原由美子さんに話を伺いました。
問い合わせ急増!
山を求める人々
この頃、“趣味を楽しむ空間としての山の購入・所有”に注目が集まっています。自ら購入した山でソロキャンプの様子を動画配信する芸人さんなどが現れ、山林売買についてメディアでも取り上げられる機会が増えたからでしょうか。
10年ほど前からWEBサイト「山林売買.net」を通じて山を売りたい人と買いたい人の仲介を行ってきた「すみれリビング株式会社」では、今年の夏頃から山林の購入について問い合わせが急増したと言います。それも通常の3〜4倍です。
「自分たちでキャンプを楽しみたいだとか、キャンプ場を経営したいというキャンプ関連の問い合わせが多いですね。全国からきてますよ。ポツンと一軒家みたいに人里離れたところに小屋を建てるために山林を買いたいという方もいらっしゃいます」
問い合わせは増えていますが、実際の購入に至る人はごく一部。大きな買い物になるため、じっくり吟味する時間が必要になります。
ネットから山林を
購入するなら?
「山林売買.net」を利用した場合、購入(もしくは売却)までの流れは次のとおりです。
掲載されている物件は地籍調査済みで地図上の座標がわかる場所など、購入希望者がたどり着けるだろうと判断された物件のみ載っています。
また、サイト上に物件として並ぶ山林の条件はさまざまですが、個人でキャンプなどを楽しみたい方には「保安林」に指定されている物件がおすすめとのこと。伐採制限などがあるため、固定資産税がかからず元の販売額も比較的安くなっています。
サイトを覗くと、掲載されている山林の面積は幅広く、価格も数万円から数千万円とさまざまです。直近の購入者の用途を聞いてみると、キャンプ場の運営、資産運用、林業など目的は多岐にわたっていました。
山の売却はインターネットで
購入とは逆に、山を売りたい人の状況はどうなのでしょうか。木原さんによれば「相続したはいいけど行ったこともない山だし、子どもたちに継がせるのも気が引けるから自分たちの代で処分したい」という所有者が増えてきているようです。
同社のサイトで掲載している山林物件の価格は所有者さんの希望額です。ベースは査定額によって決められますが、仲介手数料を下回る場合も多々あり、査定額に少し上乗せした金額で掲載しているパターンもあります。また、査定額は所有林の固定資産税評価額に評価倍率表で該当する倍率(国税庁が公表している財産評価基準書に記載)を乗じたものが提示されます。
●評価倍率表はこちら
https://www.rosenka.nta.go.jp/
こうした不動産会社を利用すると、資料の用意や関係機関への書類提出などの手間がかなり省けます。その分、仲介手数料などが取られてしまうため、費用を安く抑えたい場合や、しっかり所有者と話し合って決めたいときなどは別の方法を検討するのがいいでしょう。
では、他にどのような山の買い方があるのでしょうか。また、予め知識を持って臨まないと、痛い思いをする可能性もあります。不動産の視点だけでなく、生態系や林業の視点などから見たときに、山林の購入で気を付けるべきポイントとは。次回はそのあたりについてリサーチした情報をお届けします。
●Information
すみれリビング株式会社
担当 木原由美子(山林売買係)
岐阜県高山市下岡本町2982-10
080-7026-9249
17@as-hida.jp
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