おいしい森
# 1
猟から調理まで知り尽くす
狩猟一家のうまいジビエ
2020.2.25

山には、森には、おいしいものがたくさんある。山菜、きのこ、木の実、樹液、木の花の蜜、沢ワサビ。忘れかけているけれど、私たちはそれらを食べて生きのびてきました。この連載では、そんな“おいしい森”の恵みを取り上げていきます。第1回は、冬ならではの“ジビエ”。狩猟の現場に同行し、肉の加工場からジビエ料理店までをまるっと堪能してきました。案内人は岐阜県高山市の狩猟一家・脇谷家の3兄弟です。

写真:西山 勲、取材先/文:田中 菜月/衣装提供:karrimor

猟師も山の生態系の一部
おいしく食べきるまでが狩猟

飛騨高山の観光拠点・JR高山駅から北西へ20分ほど車を走らせると、脇谷家がある山の麓の集落に到着。脇谷家の向かいにはジビエ専門の解体・加工場「飛騨狩人工房」が、そして狩猟に欠かせない猟犬たちが待機する檻があります。

猪の牙から身を守るための防刃ベストを身に着けるツキ。狩猟時には必ず着用。

出迎えてくれたのは、脇谷家三男で若手猟師の脇谷奨さん(27)。5匹いる猟犬のうち、この日は3歳のツキとともに、猟場となる山へ早速向かいました。ツキは猟犬としての能力に優れた屋久島犬で、嗅覚に長けています。筋骨隆々で、慣れない人がリードを持つと身体を丸ごと持っていかれるほどの力の強さ。山の中は色んな動物の匂いがあるため、猟犬はそれぞれ熊や猪など対象を一つに絞って調教しているそうです。「犬が反応したらロープを外して獲物を追いかけさせるか、山の中を歩いて動物の足跡を見つけて獲物を探す方法が多いです」と奨さん。

狩猟を始めたのは23歳の頃だった。
「小さいころからやりたかったですね。親父を見ていたら、猟師になるのが当たり前みたいな。そういう生き方を当然していくものだと思っていました」
最初は猟師歴40年以上の父・雅彦さんから教わりながら狩猟をしていましたが、今では一人で行くことがほとんど。狩猟期間は通常、11月15日~2月15日(鹿と猪に限っては3月15日まで延長)と岐阜県によって定められています。天気が悪くなければ猟期は毎日朝から山に入り、14時頃までには下山し始めるルーティーン。山の中はすぐに暗くなって危険なため、午前中を目安にしていると言います。猟期以外は有害鳥獣捕獲(※)も行います。

※有害鳥獣捕獲とは、農林水産物や人の生活環境に被害を与える野生鳥獣を捕獲すること。猟期以外でも狩猟を行うことが可能になり、報奨金を設けている自治体もある。

昨年度捕獲した猪。

「農林業への被害は増えていても、動物の絶対数っていうのがあるわけで、捕れるだけ捕っとったら動物も減りすぎてしまうんですね。この山に動物がちょっと少なくなったなあと思うと、その山では捕らないようにしたり、どうせ捕るなら猪や熊の脂が乗っておいしい冬に捕るようにしたりしてます。ある程度個体数を維持していかないと、猟もできなくなってしまうので」。でも、それはあくまで彼なりのやり方だという。
「報奨金ほしさに何でも構わず全部捕って殺して、食べきれないから捕獲を証明する写真だけ撮って獲物は捨てて、報奨金だけもらう人もいますから。まあいろいろですね」

持続的な山の生態系を保てる程度に猟をして、おいしく食べきるのが猟師としての奨さんの流儀。おいしく食べるには、どのように獲物を仕留めるのかも重要です。この日携帯していたのは“サボット銃”と呼ばれる、ライフルと散弾銃の中間のような銃でした。弾は最大150m(有効射程距離)ほど飛ぶそう。

「だいたい50mくらい離れて撃ちます。近すぎると危ないので、ほどほどの距離で頭を狙えるときに撃つって感じですかね。猪は顔と胴体がつながっとるんで撃ちやすいんですけど、鹿の頭はちっちゃいんで、だいたい脇の付け根を狙うと倒しやすいです。上手な人は首を撃ちますね。猟師さんによっては捕れりゃいいぐらいの人もおるんで、腹でもどこでも撃つような人もいますよ」。腹を撃ってしまうと台無しになってしまう。
「腹を打ってしまうと内臓を痛めてしまう。やっぱり頭を撃てるときに撃たないと、おいしい肉は獲れません」。信頼関係が何よりも大事だとか。

「信頼できる人でないと一緒に猟には行けないです。猟師も高齢化しているので、一緒に行くのが怖いときもありますよ。毎年、誤射による事故もあります。『よく見えんけど撃ったわ』みたいな人もおるんですよ」

狩猟は、巨大な野生動物と対峙することに加えて、銃を扱う行為でもあります。常に命の危険と隣り合わせ。同じ肉でも、牛や豚とは収穫過程はまるで違います。人工的に管理しているわけではないからこそ、一年を通じた動物の暮らしを把握して、もっともおいしい時期を狙い撃ち。

「雪の時期が最も脂がのっていますね。特に熊はクリスマスか年末くらいに冬眠するのですが、それまでに食い溜めして脂を蓄えて寝るんで、この時期が一番おいしいですね。熊は1頭しか捕ったことないですけど、熊の猟はまた特殊でやり方が全然違います。僕は猪と鹿ばかり捕っています。熊猟師は熊専門でやっていて、山の歩き方とか全然違う。東北でいうマタギですね。高山にも熊専門の人はいますよ」

猟友会のキャップ。つばにGoProを装着して狩猟の動画も撮影し、Instagramなどにアップするそう。

「雪が降る前は鳥を撃つことが多いですかね。マガモ、ヤマドリ、キジ。猪、鹿、熊は昔からですが、カモはそんなに頻繁に食べていなかったんで、最近はカモが捕りたいですね」
何が一番美味なのか。「自分はカモが一番だと思います。でも基本的には全部おいしいですよ。穴熊も美味いし、ウサギも。でもそれもすべて血抜きとかの処理次第です。どれだけ脂がのってて、やわらかい若い肉でも、血が入っているだけでめっちゃ臭くなるんですよ。体温が残ってるうちに血抜きしないとおいしい肉にはならないです」

ジビエ革製品のオリジナルブランド「pervo」の名刺入れ。

「僕は狩猟とジビエの革製品を作るくらいで、兄貴二人がジビエの卸売とか料理店をやってくれています。狩猟自体がメインの収入になることもあるんですけど、副収入くらいですね実際は。有害鳥獣駆除の報奨金と自家消費できない肉を兄貴に売って入ってくるお金くらいです。有害駆除のほうは“わな猟”だけなので、朝の仕事前にわなの見回りをして、動物がおらんければ仕事に行って、動物がおれば止め刺し(止め刺しとは、わなで捕獲された野生動物のとどめを刺すこと)して山から下ろして、あとは兄貴に任せて仕事に行くとか。最近で特殊だったのは豚コレラ。調査を仕事としてやりましたね。今年の夏はほぼ山に行って、イノシシを捕獲するとか、それが仕事になっていました。毎日山に入って動物捕って、それだけで生きていけたら一番いいんですけどね」

本当のおいしさが宿る
ジビエ加工の極致

解体・加工場である飛騨狩人工房は、平成25年に県の“ぎふジビエ衛生ガイドライン”ができたことをきっかけに、父・雅彦さんと調理師専門学校卒の次男・政亮さんで開業した工房です。工房長は政亮さんが務めます。

脇谷家三兄弟。左から長男・将斗さん、三男・奨さん、次男・政亮さん

狩猟の同行を終えて工房へ戻ると、脇谷家長男の将斗さんが施設全体を案内してくれました。普段は狩猟や猟師からのジビエの受け入れ、催事・イベントの出店、体験ツアーなどを担当しています。

「ジビエは牛や豚より危険を冒して捕ってくるぶん、肉としての単価が高くなってしまうので、初めて食べる人がおいしいと感じなかったら次はないと思っています。常に最高のものを出すように心がけています。ジビエは人が管理して育てているわけじゃないので、状態が不安定で扱うのがすごく難しいのです。個体の年齢はバラバラだったり、山によって脂の乗りが違ったり。なので、しっかり検査して、状態を見極めて、適切に解体・加工していくことが重要になります」

山から運ばれてきた獲物はまず、工房の入口で病気かどうかを判断してから中へ運び入れます。

「鼻がただれていないか、蹄の間がじゅくじゅくになっていないかなど、判断ポイントはいくつかあります。極度に痩せていないかも見ますね。自然の環境はすごく厳しいので、餌を1日食べなかっただけですぐ弱るんです。今まで300頭以上受け入れてきましたけど、痩せていておかしいかなって思ったのは1頭くらいでしたね。解体してみておかしかったものはないので、やっぱり自然の厳しい環境の中で自ずと淘汰されていることがわかります」

昨年の猪の皮剥ぎ。いい脂を残しながら皮を剥ぐのも技術の一つ。

中へ入ると、獲物を吊り下げる器具が取り付けられた部屋があります。毛皮の状態でここまで獲物を運び、吊り下げた状態で剥皮したり内臓を抜いたりする解体作業を行います。

「肉によっては寝かせたほうがおいしくなることもあります。熟成まではしないんですけど、死後硬直がとけた状態で精肉したい。死後硬直すると肉がきゅっとなって、細胞から旨みとかも逃げちゃうので。だから死後硬直もゆっくりさせるために、冷凍庫の中でちょっと置いてから精肉していく。猪は禁止されているので鹿だけですけど。脂の乗りとかによって時間は違うのですが、数日くらい寝かせて、肉の硬さなどを見てから精肉へ進みます。一頭一頭違います。でかいやつは肉の厚みもあるので豚とか牛みたいに長い間吊るしといたほうがいいんですけど、小さいやつはすぐいい状態になっちゃうので。だから一頭ずつ管理していきます。おいしい肉にするためには、血抜き、内臓を取る、皮を剥ぐ、の3つが大事です。内臓を傷つけないように素早く解体していくには技術が特に求められます。剥皮も、いい脂をどれだけきれいに残すかでおいしさが違ってきます」

さらに別の部屋へ進んで、加工・精肉ゾーンへ。解体された肉塊は台の上に載せて精肉していきます。ここで骨と肉に切り分けて、部位ごとに冷凍庫で保管。

「獲れたて新鮮な状態が一番おいしいんですけど、ジビエって季節によって味が違います。冬の時期の脂がないとダメやって言う人もいますけど、うちの嫁は脂がない夏の猪の焼肉が好きで。季節ごとに味の違いを楽しめますね。いい状態でお肉を冷凍して、その都度料理に適したものを出したり、レストランでこれに使いたいって言われたらそれに適したものを出したりするスタイルでやっています。必ずしも脂があっていいわけでもない、脂がない肉がおいしいこともあるんです。要望に応じたり、料理によって使い分けたり、融通がきくように冷凍させています。だからこそ、肉を最高の状態にしておくのが余計に重要なんですよね」

ジビエの卸売だけでなく、自らが運営する料理店でも素材をフル活用。ジビエ料理専門店「山の幸 うり坊屋」では、新鮮なジビエをリーズナブルに、かつバラエティに富んだメニュー展開を得意とする。その日獲れたてのハツを店で出すことも。「ジビエラーメン 山くじら」では、ジビエの骨から出汁を取ったスープを生かしてラーメンを提供。ソーセージやジビエジャーキーも製造しており、これら食肉加工を担当するのが三兄弟の母・千草さんです。さらに、料理店や食肉加工だけでなく、家庭でもジビエが味わえるようにと、焼肉セットやジビエカレーのレトルトなども販売を始めています。こうした商品開発は工房長の政亮さんを中心に取り組んでいるそう。

「熊の肉を買ってもどうやって調理したらいいかわからないという声が多いので、熊鍋セットも開発しました。熊肉のつみれも入っていますけど、脂の少ない夏の熊はつみれにするとおいしいんですよ。山椒とすごく合います。熊の脂は甘みがあるので、味噌だとその甘みを殺しすぎちゃうから、しょうゆベースにしてます。ちなみに、熊は干すと独特の匂いが凝縮されて出てくるので、ジャーキー系には加工しません。適した食べ方があるんですよね。穴熊は焼いて食べると好き嫌いが分かれますが、鍋にして食べると匂いがダメな人でも平気です。野菜とうまくマッチして独特の香りが相乗効果になるんです」

“狩猟はやらん方がいい”
それでも猟師になりたかった

ジビエのことなら何でも分かりやすく話してくれる将斗さん。実は狩猟の世界に飛び込んだのは5年ほど前のことでした。

「親父が狩猟のマスターなので知識はもともとあったのですが、僕が狩猟を実際にやり始めたきっかけは結婚を考えるようになった年齢です。自分の子どもにジビエを食べさせたいなあと思って。狩猟を始めるとスーパーの肉を見る目が変わります。大切に食べようって。だから、うちの工房でも血抜きが不十分な肉があっても、加工品にまわしてきちんと使ってあげる。やっぱり命を扱っているので。他の解体所ならメスだったり、変なところを撃たれていたりすると受け入れないですけど、うちは腹を撃たれていたら腹に接していないロースとかモモを使うようにします。腹の肉は自分たちで食べる。それでもやっぱり止め刺しするときはかわいそうだと思っちゃいますよ。野生動物なのでちょっと油断するだけで大きなケガをしたり死んだりするので、容赦はしないですけどね」

三兄弟にとって、父・雅彦さんの存在はとてつもなく大きい。雅彦さんの猟師としての熟練ぶりを裏付けるこんなエピソードを将斗さんが教えてくれました。

「ある朝、猪の新しい足跡を見つけたから狩猟に行こうよって話になったんですね。『俺、用事あるから先行っとけよ』って父に言われたので、先に一人で足跡を見つけた場所へ行っていたんです。それでその先の道が二股に分かれとって、新しい足跡がついてるほうに進んで行ったら、父から無線が入って『どこにおる? 二股どっち行っとった?』って言われて。一緒にいないのにわかってるんですよ。『こっち行った』って返事したら、その先で猪が寝床にしてる場所がわかるんですよ、父は。猪がそこからどこへ逃げるかもわかっているので、『そっからそのままぼって(追って)来いよ』って言うんです。足跡に従って猪が寝ているところまで僕が行くと、猪の逃げ場所で父がライフルを持って待ってる。どこに足跡があるか聞いた朝の時点でそこまでもうわかってるんですよ。だから着いてこなかったんですよね(笑)。獣道の近くでずっと待機してて、将斗はそろそろ着いたかなって無線飛ばしてきて。動物はだいたい決まった獣道を通って逃げていくものなのです。父は長い間毎回この山に入ってここで狩猟して、どこに逃げられたっていうのを何度も何度も20代の頃から経験して、だからあらゆる獣道が頭の中に入っているんです」

そんなベテランの雅彦さんも、狩猟で危険な目に遭ってきたと言います。将斗さんもその怖さを体感した一人でした。

「他の猟師さんと一緒に猟に行ったとき、熊に遭遇して。一緒に行った猟師さんが銃で撃って仕留めてくれたんですね。それで僕がすぐ血抜きするために駆け寄ったんですよ。そしたら熊が起き上がってきて。どうやら銃弾が首をかすって脳震盪を起こしているだけだった。とにかく逃げましたよ。猟師は変な人が多いのかもしれないですけど、本当に危ないときは逆に笑っていましたね(笑)」

熊は猪と違って人間の急所である首と頭を狙い、爪で引き寄せて噛みついてくるそう。この地域でも何人もの人が救急車で運ばれていると言います。

「狩猟は、一年に何回も命の危険に遭うくらいです。だからうちの父は『やらんほうがいい』と言うのです。まあ若い頃だったら真に受けてやらないんですけど、そこがハードルなんですよね。それを超えられる人じゃないと続かないですから。若い子が興味を持って来たときも、『やらんほうがいい』って言って、でも本当にやりたい人は絶対やるんで。危ない目に遭った話もちゃんとします。それでも超えてくる人だけが猟師になれるんです」

父の姿を見てきて、言葉も聞いてきて、それでもやりたいと長男と三男は狩猟を、次男は得意とする食肉加工の部分でジビエに携わる、それが狩猟一家・脇谷家なのです。

ジビエ料理、
いただきます!

最後はジビエ料理専門店「山の幸 うり坊屋」を訪れ、脇谷家三兄弟の言葉を頭の中で反芻させながら、ジビエ料理に舌鼓を打ちました。

店内は10人ほど座れるコの字型のカウンター。壁には脇谷家が仕留めた獲物の写真や、ジビエの頭蓋骨や角、諏訪大社の鹿食免(諏訪大社が配布している狩猟の免罪符)など、ジビエに関するさまざまなアイテムが飾り付けられています。

早速、鹿・猪・熊の食べ比べができるおすすめの串焼きセットをオーダー。焼き器の上に並べられた串からは香ばしい匂いが漂ってきます。

焼き上がった熱々の串焼きがテーブルに運ばれてきました。焼き上がると見た目はどれも同じように見えますが、味や食感はまったく違います。鹿はさっぱりとしていて、ついたくさん食べたくなる味わい。猪は、豚肉のようにくどすぎない脂の旨みがクセになりそうです。熊はしっかりとした歯ごたえと、脂のほんのりとした甘みが印象的。どれも臭みはまったくなく、最後までぱくぱくと箸が進むおいしさでした。飛騨の地酒とともにいただくのも一興です。

鹿(モモ肉)のたたき。醤油にニンニクまたはショウガをつけて。
希少な穴熊の鍋。脂の甘みと肉の弾力が特徴的。出汁の旨みと相まって臭みもない

メニューは豊富で、鹿のユッケや猪のナチョス、鹿ワイン煮、鹿の心臓串、ヒヨドリ半身焼きなども堪能。ジビエ以外にも、脇谷家自獲りの鮎や原木しいたけなどを使った品々もそろいます。

店長の鈴木さんに、家庭でのジビエのおいしい食べ方を聞いてみると、「とにかく煮込めばだいたいおいしく食べられますよ」と教えてくれました。とは言え、動物の種類や部位によって適した調理方法が変わってくるため、料理は難しいと感じる人は飛騨狩人工房の熊鍋セットなどを買ってみるのもおすすめです。

狩猟から解体・加工、調理までの一連の流れ、そこに関わる人を知ってから食べるジビエは、おいしさと食後の満足感が格段に上がったように感じました。農業は人が管理して育てた産物を収穫しますが、ジビエは真逆です。自然の循環の中で育った野生動物を、人が銃やナイフを使って殺生する。野蛮だと思われることもあるでしょう。しかし、それは自然とより近い営みであることの裏返しです。自分たちが森の恵みによって生かされてきたこと、相手の命を奪うことは己にとっても命がけであること。ジビエの世界に触れることで色々なことが見えてきます。スーパーに並んだ加工肉を買うだけでは気づかないことです。脇谷家が狩猟に留まらず、食肉加工から料理店の運営までを手掛けることで、私たちが与る恩恵は大いにあると実感しました。

食育の分野ではよく語られることかもしれませんが、自然素材からできたものを食べるという行為には、他の命を奪っているという一面もあります。肉類を食べるときに一番想起されがちですが、野菜や果物、きのこなど自然の中で育ったものはすべて生きていたわけです。この連載で今後取り上げるであろう他の素材もそう。ただ、それは決して背徳感を持って食べるということではなく、人間が脈々と続けてきた自然の営みなんだと感じることで、自分の食を見直すきっかけにもなり得ます。おいしい料理には素材が肝心ということも耳にしますが、その素材を生み出す自然が最大の調味料だとも言えるわけです。ならば森にはもっとうまいもんがゴロゴロあるはずですね。おいしい森へ、また次回もご案内します。

●飛騨狩人工房のホームページはこちら
※カレーと熊鍋セットはネットからでも注文可能です

●山の幸 うり坊屋のホームページはこちら

●脇谷奨さんのInstagramはこちら
※ジビエ革製品ブランド「pervo」の情報もこちらで発信しています

田中 菜月 (たなか・なつき)
取材・記事執筆担当。印刷会社で働いていた数年前、ふと森に関わる仕事がしたいと思い立ち林業の学校へ。それ以来どっぷり森の沼にハマる。もう抜け出せない。伐木作業者特別教育修了/狩猟免許の更新忘れた…/休日はアイドル、キャンプ、純喫茶巡り、読書。