森のシズル音
# 2
木を切る
2020.4.17

森の中は静かですが、耳をすませば、多彩な音が聞こえてきます。そんな森の音を日々の暮らしの中に取り込んでみたい。そんな思いでシズル音を集めてみました。第2回は「木を切る音」です。やさしい物語と一緒にお楽しみください。

編集・文:加藤直徳/映像制作:田中菜月

山にチェーンソーの音が響きわたるずっと前の話です。

人間は、石器時代から石製の鋸や斧を使ってきました。

やがて、銅・青銅、鉄製の鋸や斧が使われるように。

日本に現存するいちばん古い鋸は、

大陸から伝来した法隆寺の鋸(国宝)です。

言い伝えでは聖徳太子が使ったものだとか。

「カーン、カーン、カーン……カーン」

切り倒す向きを決めるのは、木の高さ、枝張り、地形など。

倒す方向に斧で三角の切り込みを入れます。

「カーン、カーン、カーン……カーン」

反対側から斧や鋸を入れて倒します。

切り倒したら枝を落とし、寸法に合わせて切りわけます。

1950年代にチェーンソーが登場して、

山に響きわたる音が変わりました。

「ギュイイイイイイイイーーーーーン」

それでも、チェーンソーで切り込みを入れて最後は斧で。

「カーン、カーン、カーン……カーン」

また明日。

加藤 直徳 (かとう・なおのり)
編集者。鎌倉(山側)在住。NEUTRAL、TRANSIT、ATLANTISなどの雑誌の編集長を経て、現在印刷まで手がける出版社「NEUTRAL COLORS」を主宰。雑誌NEUTRAL COLORS編集長。hibi-kiはコンセプト作りからDirectorとして参加。各連載も担当する。山は登るより眺めるのが好き。