Memento Mori -Books,Cinema,Art,and more-
# 15
絵をじっくり味わいたい
秋のおすすめ絵本
2025.10.21
photo by Isao Nishiyama

今回も、元図書館司書でぎふ木育指導員の柴山佳江さんに、秋のおすすめ絵本を選書してもらいました。親子で読んでも、大人が読んでも楽しめる3冊を紹介します。

▼柴山さんインタビュー記事
https://hibi-ki.co.jp/hibikitours042/

写真・文:柴山 佳江/編集:田中 菜月

どんぐりたちと
冒険に繰り出そう!

『ドングリ・ドングラ』
作:コマヤスカン
出版社:くもん出版
定価:1,320円(税込)
詳細:https://shop.kumonshuppan.com/view/item/000000002111

柴山さんコメント:
“秋どんぐり”と出会うと読みたくなるのがこの絵本です。ページをめくるたびに、ユニークかつスペクタクルな場面が展開され、どんぐり軍団の大冒険映画を見ているかのように引き込まれます。

また、作者のコマヤスカンさんの絵の細かさと正確さは圧巻!ぎふ木遊館の“ドングリ先生”も「これはすごい!さまざまなドングリの性格がよく分かって愛おしい」とのお墨付きをいただいております。「ドングリドングラ・ドングリドングラ~~~~」のところはぜひ、『フニクリフニクラ』(おにのパンツ)の替え歌にのせて読んでみてください。楽しさ倍増です(笑)。

絵画を鑑賞するように
絵本を味わう

『どんぐり』
作:たての ひろし
出版社:小峰書店
定価:1,980円(税込)
画像提供:小峰書店

『どんぐり』
作:たての ひろし
出版社:小峰書店
定価:1,980円(税込)
詳細:https://www.komineshoten.co.jp/search/info.php?isbn=9784338362016

柴山さんコメント:
1冊目と同じく、どんぐりがテーマの絵本ですが、こちらは大人の方にゆっくりと眺めて感じていただきたい絵本です。言葉はありません。館野鴻(たてのひろし)さんが描く秋の森や、どんぐりの様子は生命力にあふれ、息を止めてしまいそうになるほど美しいです。

秋は「生々流転いのちの季節」と言われています。虫も植物も次のいのち(卵や種)を残し、静かに我がいのちを終えていく。四季(季節感)の変化に鈍感にさえなりそうな昨今だからこそ、絵画を眺めるようにこの絵本のページをゆっくりめくってみてください。そこにご自身の言葉を添えながら読んでみるのも、絵本の粋な楽しみ方なのかなと思います。

ゆっくりじんわり
めぐる季節

『はるとあき』
作:斉藤 倫・うきまる
絵:吉田 尚令
出版社:小学館
定価:1,430円(税込)

『はるとあき』
作:斉藤 倫・うきまる
絵:吉田 尚令
出版社:小学館
定価:1,430円(税込)
詳細:https://www.shogakukan.co.jp/books/09726850

柴山さんコメント:
表紙の絵に惹かれて中身を見ずに購入した絵本、いわゆるジャケ買いした本です(柴山よくやります)。

景色も美しく、四季の中でも優しい気候で過ごしやすい季節の春と秋。それぞれ違うようで似ている、そんなお互いを思いやる手紙のやり取りで紡がれる物語に、キュンとしたりハッとしたり。

はるが書いた手紙はなつが預かり、あきに渡す。あきが書いた返事は、ふゆが預かりはるに届く。実にゆっくりなんです。季節のめぐりが待ち遠しい。今はメールやLINEで早々とやり取りできるのが当たり前になっていますが、自分の思いを誰かにゆっくりと手紙で書いて届けてみたくなる絵本です。

田中 菜月 (たなか・なつき)
1990年生まれ岐阜市出身。アイドルオタク時代に推しメンが出ていたテレビ番組を視聴中に林業と出会う。仕事を辞めて岐阜県立森林文化アカデミーへ入学し、卒業後は飛騨五木株式会社に入社。現在は主に響hibi-ki編集部として活動中。