森に関わりたくなったら、森で働きたくなったら、森について知りたくなりますよね。でも、学校で学ぶ機会や、体系的に調べられる情報ってあまりないのではないでしょうか。みなさんがはじめの一歩を踏み出すきっかけになるような、そんなお話しをちょっとずつお届けしていきます。まずは、森を想像することからはじめましょう。
森ってなんだろう
辞書を引いてみた
森ってなんでしょうか?
ムーミンが暮らすような森?
それとも、もののけ姫が生きる険しい山?
想像するものは、きっと人によってちがうでしょう。それに、森のほかに、森林や山といった似たような言葉もありますよね。
さて、ここで皆さんに質問です!
「森」、「森林」、「山」はすべて同じ意味だと思いますか?
チッチッチッ…チーン!
考えてみましたか?
では、辞書(精選版 日本国語大辞典)を引いて答え合わせをしてみましょう。
森:
「①神社などのある領域で、神霊の寄りつく樹木が高く群がり立った所。②樹木がこんもりと茂った所」
①を読むと、森はアニミズム(自然信仰)的な意味合いを含んでいますね。
森林:
「①高木が密生し大きな面積を占めた植物群落。温度や水分条件によってこれが成立できなくなると森林限界を生じる。構成する樹木の種類の生活形の相違によってさまざまな相観を示す。②樹木のうっそうと茂ったさま」
①に書かれていることがちょっと難しいですが、簡単に言うと、植物という生き物目線を持っているということです。②は森と同じですね。視点が少し違うだけで、ほぼ同じ意味だと言えそうです。
山:
「①火山作用、浸食作用、造山作用によって地表にいちじるしく突起した部分。高くそびえたつ地形。また、それの多く集まっている地帯。山岳。日本では古来、神が住む神聖な地域とされ、信仰の対象とされたり、仏道などの修行の場とされたりもした。②特に植林地、伐採地としての山林。種々の産物を得たり、狩猟したりするための山林」
①は地学的な視点ですね。なんだかゴツゴツした険しいイメージが湧いてきます。木が生えていないような山岳地帯も含まれるようです。②を読むと木が生えている状態のことに触れているので、森と同じような絵が想像できます。
すべてに共通するのは、“樹木が集まって生えているさま”を表しているということです。言葉によっては少し異なる要素も含まれていましたが、広い意味で同じだと言っても良さそうですね。
さて、ここでもう一つクイズです。
「木」と「樹」は同じ意味でしょうか?
こちらも辞書(精選版 日本国語大辞典)で答えを調べてみましょう。
木:
「①根・茎(=幹)・葉が分離(発達)している植物で、茎の外側が堅いもの。内部の組織も、詰まって堅いものが多い。毎年、生長を続け、丈が高くなったり、幹が太くなったりし、また、年輪が見られる。②材木。①は「樹」とも書く」
木は植物としての視点と、加工された材木としての視点の両方をあわせ持っています。樹は植物として生きている状態だけを指すようです。森も木も、使う漢字によってニュアンスが少しずつ違うのが面白いですね。
ところで、私たちが今目にしている森や木々って、太古の時代と違いはあるのでしょうか。昔はもっと険しく深い森だったんじゃないか、なんて勝手なイメージがありますが、実際はどうなのでしょう。そこで、次回はタイムマシンに乗って、森の歴史をさかのぼってみます!