ヒビキツアーズ 番外編 #2
Special Issue 4
GOENとあばれ祭りを
応援しに行こう!
2025.3.31
雄大な富山湾に面し、海の先には立山連峰を眺めることができる能登町。2011年には「能登の里山里海」として日本で最初に“世界農業遺産”に選ばれています。日本の原風景というべき景色と暮らしが今も残る能登町には、地域の森と祭りに密接にかかわる、ある木こり集団がいます。縁あって彼らと出会うこととなった響hibi-ki編集部。交流を深める中で、心を揺さぶられる瞬間が何度もありました。そんな旅の記憶を綴っています。
写真提供:合同会社NOTONO

能登町の木こりチーム・GOENが携わる“あばれ祭り”に必要な松明づくりや、松明・神輿に欠かせないアテの木の森づくりに参加できる体験プログラム「木こりワーケーション」が、今年開催されると言います。一体どんな体験ができるのでしょうか?

写真:田ノ岡 宏明/文:田中 菜月

木こりワーケーションとは?

ワーケーションは普段の生活の場とは異なる場所で、仕事をしながら過ごすというもの。コロナ禍を経て、この言葉を見聞きする機会が増えたように思います。

しかし、「木こりワーケーション」を知っているという人はほとんどいないでしょう。というのも、2024年から能登町で始まったばかりの取り組みだからです。

石川県能登町を拠点として、地域活性化のうち特に林業の意義や価値、またそれに従事する林業従事者(木こり)の魅力をより多くの方々に周知する目的で活動している団体〈合同会社NOTONO〉が、木こりワーケーションを企画・運営しています。

昨年の木こりワーケーションに参加した皆さん。
昨年の木こりワーケーションに参加した皆さん。

林業の仕事を手伝いながら一緒に過ごし、命がけで作業する木こりの生き様に触れることで、自分の仕事や人生についても深く考えるきっかけとなるのが「木こりワーケーション(通称:木こワー)」です。

「これまで東京で暮らしていた時には、林業って他の一次産業である農業や漁業と比べて意識する機会が少なかったです。もちろん特殊伐採という言葉も知りませんでした。そんな自分がたまたま訪問した能登町でGOENに会って、同じ年齢の人たちがこんなにも色鮮やかに活動している姿に惚れ惚れしちゃいました」

そう話すのは、合同会社NOTONOの事務局を担当する桐明祐治さんです。

「能登で息づく暮らしや文化、そこで生きる地域の方々の魅力。”能登は優しや土までも”という言葉もあるとおり、実家に帰ってきたかのようにホッとさせてくれる空気感もあり、この地域のことをより多くの方に体験してほしいと思って活動しています。能登と外を繋ぐ玄関口を作る役割が担えるといいかなと思っていて、一度来てもらえれば、みんな能登が好きになって離れられなくなるので(笑)」

こうしたGOENや能登町との出会いを通じて実感したものを、体験プログラムとして落とし込んでいるといっても過言ではありません。

そんな木こりワーケーションでは、具体的にどういった関わり方、参加の仕方ができるのでしょうか?

1年を通じて
体験できること

昨年までは、GOENの現場でお手伝いしながらその仕事ぶりや人となりに触れてもらうことを目的に活動を行っていたそうです。今年は、より地域のための活動にしていこうという思いから、年間スケジュールのうち前半は主に“あばれ祭り”に必要な松明づくり、後半はアテ森づくりの作業が体験できる計画となっています。

山で集めたアテの枝葉を束にして乾燥させ、丸太にくくりつけて大松明をつくる。写真提供:合同会社NOTONO
山で集めたアテの枝葉を束にして乾燥させ、丸太にくくりつけて大松明をつくる。写真提供:合同会社NOTONO
アテの枝葉が取り付けられた大松明。写真提供:合同会社NOTONO
アテの枝葉が取り付けられた大松明。写真提供:合同会社NOTONO

①アテ枝の結束作業
2025年4月18日(金)〜20日(日)

②アテ束の乾燥作業
2025年5月23日(金)〜25日(日)

③松明組み上げ準備
2025年6月20日(金)〜22日(日)

④あばれ祭り
2025年7月4日(金)・5日(土)

⑤アテ森づくり作業
2025年8月22日(金)〜24日(日)

⑥アテ森づくり作業
2025年9月12日(金)〜14日(日)

⑦アテ森づくり作業
2025年11月14日(金)〜16日(日)

基本的には1回のプログラムにつき滞在期間は2泊3日、参加費は5万円(宿泊費込)となります。
※能登里山空港までの交通費、現地での食事代は各自負担

どれか一つだけ参加するのでもいいですし、継続して参加するのも大歓迎です!後半の森づくりの作業はまだ詳細が決まっていないため、追って情報を更新していきます。

●参加申し込み/プログラム詳細
https://peatix.com/event/4238987

復興支援や観光
目的は人それぞれ

実際に取材で能登町を訪れた我々からすると、木こりワーケーションでの体験はもちろんなのですが、能登町の食文化であったり、古くから続く銭湯だったり、海辺の景色だったり、地元の人にとっては何気ない普段の暮らしを味わうのも醍醐味の一つです。

能登町で食べた、いしりラーメン。
能登町で食べた、いしりラーメン。

海がない岐阜の民である筆者にとって、能登町で食べたお寿司の美味しさは格別でしたし、「いしり」と呼ばれる能登町産の魚醤を使った“いしりラーメン”は塩気のある海を感じる味でした。お土産で買ったいしりを使ってラーメンをつくるたびに能登町のことを思い出しています。銭湯のおばあちゃんと猫と戯れた時間も忘れられません。お風呂セットは忘れてきましたが。

地震後の能登町の現状を見てみたい、GOENのメンバーと話してみたい、能登町への移住に関心がある、特殊伐採という仕事にふれてみたい、能登町やGOENを応援したいなどなど、参加する動機は何でも良いのです。実際に自分の目で見て、体感することが何よりも大事だと思うから。

響hibi-ki編集部もまた能登町へ行くつもりです。ぜひ現地でお会いしましょう!

●お問い合わせ先
合同会社NOTONO
https://www.instagram.com/noto_notono

田中 菜月 (たなか・なつき)
1990年生まれ岐阜市出身。アイドルオタク時代に推しメンが出ていたテレビ番組を視聴中に林業と出会う。仕事を辞めて岐阜県立森林文化アカデミーへ入学し、卒業後は飛騨五木株式会社に入社。現在は主に響hibi-ki編集部として活動中。
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