ちょっと変わった木の使い方に目がないhibi-ki編集部。そして、それは本当にいいものなのか実践して確かめないと気が済まない性分でもあります。そんな私たちは最近、食にまつわるある試みを行いました。その模様をご覧ください。
アベマキコーヒーって何だ?
「アベマキ」という名前の木を見聞きしたことはありますか?
実は森林火災の記事にもちらっと登場しているのですが、山火事の後でも生き残るほど分厚いコルクのような樹皮におおわれる木です。ブナの仲間なのでドングリがなる木でもあり、中部~九州地方の山で見かけることができます。
アベマキ材は乾燥などが難しく、木工用の材料として向かないことからあまり注目されていないのですが、そのアベマキの活用にここ数年取り組んでいるのが岐阜県岐阜市にある〈ツバキLab〉の和田さんです。数年前から岐阜県美濃加茂市の小学校で「アベマキ学校机プロジェクト」を行うなど精力的に活動しています。
そうした試行錯誤の中で新たに登場したのが「アベマキコーヒー」です。
アベマキコーヒーはコーヒー豆とアベマキのチップを一緒に焙煎したもので、和田さんの知り合いだった「焙煎屋克之佑」とのコラボにより生まれました。焙煎具合などさまざまな製法で何度も繰り返して試作し、納得のいく味にたどり着いたものなのだそう。
実際に飲み比べてみたところ、レギュラーコーヒーはほどよい苦みと酸味のある飲みやすい味わいでした。対してアベマキコーヒーは、苦みがさほどなく、爽やかな酸味が増していて、独特な風味です。飲み比べてこそ楽しい一杯だと感じました。
実は和田さんは、私が岐阜県立森林文化アカデミーに通っていたときの先生です。このアベマキコーヒーのように、他の道のプロが加わることでこんなに木の可能性は広がるものなんだと気付かされました。こうした活動を間接的にでも知ることで、卒業後も先生から学びを得続けているのでした。
そして、他の樹種でも試してみたくなる性分なのが我々編集部。近いうちに響hibi-ki STOREで販売しているスギの燻製用チップ「sugimokku」を焙煎して、コーヒーにできないか実験してみたいと思います。
ウッドプランクグリルって
何か知ってますか?
私たちが所属する飛騨五木の本社には、本業の建築で出てくる端材があり余っています。コーヒー以外の、食への活用法を探ってみようと「ウッドプランクグリル」にチャレンジしてみました。
もともとはアメリカなどではおなじみのバーベキュー調理法で、水に浸した木の板の上に食材を置き、それをバーベキューコンロで蒸し焼きにするもの。数年前に少しだけ日本でも話題になったようですが、流行りに乗り遅れがちな編集部は今さらながらウッドプランクグリルの存在を知ったというわけです。
イベントで使わなかった丸太の輪切りが事務所にあったので、とりあえずそれでつくってみることにしました。
小さい輪切りしかなかったので、2枚並べた上にサーモンを乗せて、塩コショウ・ローズマリーをかけ、アルミホイルでフタをして蒸し焼きにします。薪と炭を使って焼いたのですが、火加減が難しく苦戦しました。
小さい輪切りしかなかったので、2枚並べた上にサーモンを乗せて、塩コショウ・ローズマリーをかけ、アルミホイルでフタをして蒸し焼きにします。薪と炭を使って焼いたのですが、火加減が難しく苦戦しました。
早速みんなで実食です。燻製っぽい味がほんのりするような、しないような…?サーモン自体がおいしかったので難なく食べられましたが、なんだかモヤっとする結果になりました。木をしっかり水に浸して再チャレンジする必要がありそうです。
やっぱり燻製がおいしい!
ウッドプランクグリルが不発に終わったため、このまま燻製しちゃおう!ということで、土鍋で燻製もつくりました。
鍋の底に燻製用チップ、網の上に食材をセットしたら煙が出てくるまで強火で加熱します。もくもくと煙が出始めたら弱火にしてフタをして10分ほどそのままにし、時間が経ったら火を止めて、しばらく煙が落ち着くまでフタをして置いておきます。
煙が落ち着いたところでいよいよ実食!いい感じにとろっとしたカマンベールチーズに食材をディップして食べました。トマトは下味がついていないので煙感が強くイマイチですが、ウインナーやチーズは安定のおいしさです(プロセスチーズは途中から追加投入したので色づきが薄め)。ちなみにこの土鍋とチップは響hibi-ki STOREで販売中ですので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
- ▼燻製用の土鍋とチップの販売ページ
- https://hibi-ki.shop-pro.jp/?pid=158206191
- https://hibi-ki.shop-pro.jp/?pid=156192310
カセットコンロでもできちゃうのがこの燻製方法のいいところ。木で食を楽しむならやはり燻製が一番お手軽です。ただ、木のオタクとしては「木そのものが食べられればいいのに」というのがかねてからの願いでもあります。最近では食用のスギパウダーなどが開発されていたり、木の食用化を目指すブランドが現れていたり、木×食の情報に引き続き注視していこうと思います。読者のみなさんも何か耳よりな情報があればぜひ教えてください!