FIELD FASHION -note-
# 2
野山を駆けめぐる
猟師に最適なウェアとは
2020.4.10

林業や山で活動する人にとって欠かせない、ウェアや装備。季節に沿ったもの、かつ動きをサポートしてくれるような機能性や快適性も重要だ。そこで、アウトドアウェアを作業着として身につけてもらい、フィールドでの使用感をこのノートに書き留めていく。ファッション的な表面的なアプローチではなく、リアルな現場のフィードバックをレポート。今回は野山をもっとも駆け回るであろう、猟師のフィールドファッションを考察する。

写真:西山 勲/文:田中 菜月

猟師一家がつむぐ
滋味深いジビエ

岐阜県高山市の山奥で狩猟に勤しむ脇谷奨さん(27)。猟師一家の三男坊だ。猪や熊の脂が一番乗っておいしい肉となる冬は、毎日山へ入り獲物を探す。命を奪うからには、よりおいしく食べきれるようにと、肉へのダメージが少ない頭や脇の付け根などを銃で狙い撃つ。そして、肉も骨も皮も大切に使う。それでこそ猟師だと、脇谷さんは考えるからだ。

動物を見つけて追跡する猟犬。そのあとを追って、草木の生い茂った道なき道をかき分けたり、斜面を駆け下りたり、ときには激しい動作を伴う。一方で、じっと耐え忍んで獲物を狙うこともある。緩急自在な動きが求められる狩猟。脇谷さんが猟場とする高山市は市街地でも標高500m以上の多雪地域のため、真冬は雪の中での活動が常だ。服を着込んで寒さを防ぎたいが、狩猟のしやすさが何より大事。軽くて動きやすくて暖かい、アウトドアブランド「karrimor」のジャケットを着てもらうことにした。

脇谷 奨さん/猟師
vinson insulation jkt ¥26,400(税込)
https://www.karrimor.jp/category/ITEM_003_002_002/100717.html
着用サイズ:Orange M

ストレッチ性とコンパクト性に優れたインシュレーションジャケット。表生地に“PERTEX_ quantum”、中綿には極薄のストレッチ綿を採用。袖口には伸縮性に優れる素材を配置し、ソフトな肌触りとともにフィット感を高め、冷気の侵入を防ぐ。高い防風性により、行動時はもちろん停滞時など寒さを感じるようなシーンで活躍する。腕回り、身頃回りのフィット性を高め、立体裁断・3Dパターン設計により腕上げ時のストレスフリーを実現。ストレッチ性の高さと相まって、パフォーマンスをサポートしてくれる。

脇谷さんには実際の狩猟時などで存分に使ってもらった。着心地はどうだったろうか。

「軽いわりに暖かいところはいいですね。フードもついていないほうが使いやすいですし、スマートで暖かいという印象です。猟師として気になる点は、生地がシャカシャカ音がするところですかね。獲物に近づくときはできるだけ気付かれたくないので。あと、表面が薄くて軽いぶん、藪の中に入ると破れやすいのが難点ですね。2ヶ所穴を開けちゃいました。地面に手をついたりするので袖口が汚れやすいのも少し気になります。手首のところできゅっと締まっているほうが個人的には好みです」

今回の場合はインナージャケットとして活用するくらいが良さそうだ。アウターは擦れる音がしない生地で、尚かつ耐久性があるウェアが猟師には最適な一着となり得る。より身体と一体になれば、猟に一層専心できるだろう。

田中 菜月 (たなか・なつき)
1990年生まれ岐阜市出身。アイドルオタク時代に推しメンが出ていたテレビ番組を視聴中に林業と出会う。仕事を辞めて岐阜県立森林文化アカデミーへ入学し、卒業後は飛騨五木株式会社に入社。現在は主に響hibi-ki編集部として活動中。仕事以外ではあまり山へ行かない。