FIELD FASHION -note-
# 1
軽くて動きやすいダウン
冬の大工のマストアイテム
2020.4.6

林業や山で活動する人にとって欠かせない、ウェアや装備。季節に沿ったもの、かつ活動をサポートしてくれるような機能性や快適性も重要だ。そこで、アウトドアウェアを作業着として身につけてもらい、フィールドでの使用感をこのノートに書き留めていく。ファッション的な表面的なアプローチではなく、リアルな現場のフィードバックをレポート。第1回目のフィールドは山ではないが、木を扱う職人・大工をフィーチャーする。

写真:西山 勲/文:田中 菜月

緻密な作業を遮らない
快適性に優れたダウンベスト

岐阜県飛騨市出身で、大工1年目の小野大樹さん(21)。愛知県名古屋市にある東海工業専門学校の大工技術科を卒業後、憧れていた大工になるべく、岐阜県高山市にある株式会社井上工務店に入社。大工グループに所属し、日々現場作業をこなしながら腕を磨く。

一人前になるまで10年はかかると言われる大工の世界。彼の研鑽はまだ始まったばかりだ。現場は一般住宅から、公共施設、寺社仏閣、伝統文化財など多岐にわたる。墨付け刻みができるベテラン大工たちの技をそばで見て学び、自らの血肉としていく途方もない修行の道が続く。

屋外で作業することも多く、冬の時期は防寒着が必須だ。一方で大工は緻密な作業を求められるため、その動きを遮らないウェアの快適性も重要となる。だからこそ冬はダウンベストを着ることが多いという小野さん。今回はイギリス発の総合アウトドアブランド「karrimor」のダウンベストを着てもらった。

井上工務店/大工
小野大樹さん
eday down vest ¥24,200(税込)
https://www.karrimor.jp/category/ITEM_003_002_001/100742.html
着用サイズ:Black(SL)M

軽量かつ、高い耐久性・耐摩耗性を持つ“CEBONNER”を表地に、中綿には650FPダウンを採用。裏地には起毛素材を使用した暖かいハンドウォーマータイプのポケットも。裾口にはドローコードを設け、フィット感の調整や、裾口からの冷気の侵入を防ぐ。ナチュラルな質感と表情、優れた機能性を持ち、快適な着心地と耐久性を併せ持った一着だ。

小野さんに作業着として実際に使ってもらい、約1ヶ月後に着用感を尋ねた。

「今まで使っていたダウンより、軽くて動きやすいです。大工仕事は全身を動かすので、作業の邪魔にならない快適さは気に入っています。前のダウンは重かった分すごく暖かかったですけど、それと比べると正直寒く感じるかもしれません。でも動けば暑くなるんでちょうどいいですよ」

都内での住宅施工中の小野さん。髪型はコロコロ変わる。

現在は東京に長期出張中の小野さん。飛騨の木で家を建てる旅する大工として、岐阜を中心に全国各地へ赴く。このダウンベストに木の粉と香りがたっぷり染み込み、色褪せる頃には、一人前の大工になっているだろう。

田中 菜月 (たなか・なつき)
1990年生まれ岐阜市出身。アイドルオタク時代に推しメンが出ていたテレビ番組を視聴中に林業と出会う。仕事を辞めて岐阜県立森林文化アカデミーへ入学し、卒業後は飛騨五木株式会社に入社。現在は主に響hibi-ki編集部として活動中。仕事以外ではあまり山へ行かない。