杉センセイの生物図鑑、 知らんけど
# 12
メジロ/スズメ目メジロ科
春を告げる鳥
2022.3.21
photo by Jin Kemoole

草花が芽生え、生命力あふれる季節になりましたね。春といえば桜の花見を楽しむ方が多いでしょう。そうした人々に紛れて、実は鳥も桜の木に集ってきます。代表的なのがメジロです。花見だけじゃなく鳥見(?)も好きだという杉センセイにメジロのことを教えてもらいました。

写真・文:重太郎

メジロは春の鳥なの?

メジロを見かけると春がきたな〜と感じます。

せやな。春の温もりを感じて梅や桜が花びらをつける頃、メジロはうちらの前に姿をよく現してくれるで。せやけど、メジロは春だけやなくて、留鳥(りゅうちょう)といって一年中日本におんねんで。

photo by houroumono

そうなんですね。
でも冬にはあまりメジロを見かけない気がしますけど、どこにいるんですか?

冬は山から降りてきて平地におるから見つけやすいはずなんやけど、昆虫なんかを食べるもんで街中では見つけにくくなっとるんかもな。

じゃあ、なんでメジロって春のイメージがあるんですかね?

メジロは子育ての時期が4月頃から7月までと言われとって、餌を求めていろんなところを飛び回っとるから、見かける機会も多くなるんや。あとは春の季語として使われるウグイスと間違えられることが多いからかもしれへんな。それに、春と言えば花がようけ咲くやろ。実はこの花の蜜がメジロの大好物なんや。せやからメジロは春のイメージが強いのかもしれんな。

へ〜。鳥が花の蜜を栄養としているなんて知らなかったです!

海外だとくちばしが細長いハチドリなんかが有名やけど、蜜好きな鳥は意外と日本にも多いで。身近な鳥で言えばヒヨドリとかスズメも花の蜜が大好きらしいわ。鳥も甘いものには目がないってわけやな。

鳥も甘いもの好きだったとは!私と同じですね。それにしても、どうやって蜜を食べてるんだろう?

photo by rok1966

メジロの面白いところは、その口にあるんや。舌先が筆のようになっとって、筆さばきで蜜を染み込ませて体内に吸収するっちゅうわけ。蜜だけやなくて、桜の木に集まる虫も食べとるみたいやけどな。よーく観察すれば、桜の花に頭を入れて蜜を吸っとるメジロの姿を見つけられるで。

すごい器用なんですね。想像するだけかわいい~!

メジロは自分の頭を花粉だらけにして蜜を吸うんやけど、花にとってはかなりメリットがある行動なんやで。メジロはミツバチみたいに花粉を運ぶ役目になっとって、そういう動物を「ポリネーター」って呼ぶんや。花粉を頭につけたメジロが別の花の蜜を吸うことで受粉が起きる。それで来年もまた綺麗な桜を見ることができるっちゅうことやな。

ある言葉の語源になった
メジロの行動とは?

こないだ散歩がてら公園に行ったんですけど、桜や梅の木にメジロが何羽か留まっているのをよく見かけました。メジロって集団で行動するんですね。

メジロはつがいになると常に一緒に行動するようになるんやで。

夫婦仲がいいんですね〜。

目の周りの白い輪郭も羽毛でできとって、毛繕いするときはパートナーにしてもらうらしいで。うらやましいな!

そうなんですね!その瞬間を生で見てみたいなあ~!

ちなみに、メジロは夫婦以外でも仲間意識が強いんや。一般的に鳥は間隔をあけて木の枝とか電線に留まるんやけど、寝る時は身を寄せ合って眠るし、巣立ったヒナも身を寄せ合うことが多いみたいやで。

photo by houroumono

この行動は何か理由があるんですか?

詳しいことはわかってないんやけど、温め合ったり、敵から身を守ったりするためにおしくらまんじゅう状態になっとるんやないかな。メジロには天敵(ネコ、カラス、ヘビなど)がようけおるから、冬の間はシジュウカラとか他の小鳥たちと一緒に群れをつくって敵を追い払っとるみたいやで。

メジロがおしくらまんじゅう…。たくさんの人やイベントが集まったりすることを「目白押し」って言いますけど、まさか目白押しの語源は“メジロのおしくらまんじゅう”なんですか?

その通り!もともとはメジロの生態からきた言葉なんや。知らず知らずのうちにメジロにまつわる言葉を生活の中で使っとるんやな~。

メジロの生態、聞けば聞くほど面白いですね。明日また公園に行って観察してみます!!

メジロはもちろんやけど、春は自然界全体が生命力にあふれて、多くの生き物が活発になるからな。特に春は鳥の生態を間近で見ることができるチャンス!まあ、春になって外出が増える人間も他の生き物に観察されとるかもしれへんな。知らんけど。

《杉センセイのまとめ》
・春の鳥・メジロ。実は一年中観察できる
・花の蜜を吸うために舌が筆のようになっている
・メジロのおしくらまんじゅうは「目白押し」の語源
●参考資料
一日一種『身近な「鳥」の生きざま事典 散歩道や通勤・通学路で見られる野鳥の不思議な生態』
中野さとる『にっぽんのスズメと野鳥仲間』
重太郎 (シゲタロウ)
神奈川県出身。現在は名古屋を拠点にメディア関係で活動中。カッコウの托卵に衝撃を覚え、文系気質だった学生時代とは打って変わって、大人になってから鳥の生態への興味があふれ出す。読書/動物のガチャガチャ集め/1杯目のビール