当連載では、日本の木を中心とする自然素材でつくられた民藝や日用品、その作り手を取り上げます。響 hibi-ki STOREで取り扱うアイテムの中から、とっておきの一品をピックアップ。今回は岐阜県・郡上八幡で戦後から木工に携わる会社が作る、歴史ある積み木を紹介します。美しい手刷りのシルクスクリーン印刷を武器に、代々木工を行う〈野首木工所〉の藤田香織さんから話を伺いました。
親子のふれあいのツールになる
もじ積み木
- 《野首木工所・もじ積み木のここがいい!》
- ・親子のコミュニケーションに最適な知育おもちゃ
- ・埃ひとつ許さない、繊細な手作業のシルクスクリーン印刷
- ・日本玩具協会認証規格の国産塗料を使用した、日本でも珍しいカラー積み木
はっきりとした色合いと、温かみのある可愛らしい絵が特徴的な「もじ積み木」は、遊び継いでいきたい木のおもちゃの代表です。積み木の表にひらがな、裏にそのひらがなが頭文字につくイラストが描かれています。イラストを通してひらがなを学べるため、ものの名前を覚えやすくなります。高く積んで積み木としても遊べますし、カルタとしても遊べる“変化系おもちゃ”です。
- 《もじ積み木の遊び方一例》
- 0歳~:積み木 「どれだけ高く積めるかな?選手権!」
- 1歳~:ドミノ 「どこまで続けられるかな?」
- 2歳~:ものの名前覚え「赤い野菜はどーれ?」
- 3歳~:文字探し 「『ゆ』はどーれだ」
- 《もじ積み木の遊び方一例》
- 0歳~:積み木 「どれだけ高く積めるかな?選手権!」
- 1歳~:ドミノ 「どこまで続けられるかな?」
- 2歳~:ものの名前覚え「赤い野菜はどーれ?」
- 3歳~:文字探し 「『ゆ』はどーれだ」
「もじ積み木って、どんなふうにでも遊べるんですよね。積んで遊ぶこともできますし、『黄色はどれ?』『ちょうちょはどれかな?』って親子でお話しするツールにもなります。大きくなったらドミノ倒しにしてもいいですし、遊び方を新しく見つけてもらいたいです」
そう話すのは、野首木工所の取締役を務める藤田さん。現在販売しているもじ積み木は、彼女がデザインしました。藤田さんが描くイラストはどこか懐かしく、日常で使うものや動物のイラストが中心です。「親子のふれあいのツール」としてもじ積み木を親子で楽しんでほしいという想いが込められています。
「昭和からあるもじ積み木の伝統は崩さずに、イラストとして新しく受け入れてもらえるものが作りたいなと思って、自分の子どもに遊んでもらえるものをイメージしてデザインしました」
「昭和からあるもじ積み木の伝統は崩さずに、イラストとして新しく受け入れてもらえるものが作りたいなと思って、自分の子どもに遊んでもらえるものをイメージしてデザインしました」
もじ積み木の材料は、東北産のトチやシナを使用しています。白く、柔らかいことが特徴です。もじ積み木は4つ角のみの面取りで、その他は切りっぱなしなのですが、柔らかい材なので遊んでいるとだんだん丸みが出てきます。最初は白い材も年月を追うほどに深みのある色・ツヤが出て自分だけの積み木に変化していきます。歯形などの傷も形として残るため、小さなころの思い出の一品としていつまでも残しておきたくなります。
さらに野首木工所最大の特徴は、手作業で行うシルクスクリーン印刷です。版自体に穴をあけ、上からインクを擦り付けるように印刷しています。小さな穴に少しでもゴミが詰まると色が薄くなってしまうため、常に緊張感を持った丁寧な作業が求められます。
もじ積み木以外にも、「グラデーション積み木」や「郡上八幡積み木」といったシンプルな積み木も人気です。これらも手作業で塗料の吹付を行っています。うっとりするほど美しく並べられた積み木は、濃淡の鮮やかな色味が映えてインテリアにもぴったりです。
野首木工所は日本玩具協会の会員であり、おもちゃは玩具安全基準(ST基準)と同じ規格・塗料で作られているため、安心して遊ぶことができます。塗料も日本メーカーのものを使用しており、ヨーロッパ製が主流のカラー積み木市場において日本製はかなり貴重と言えます。
戦後から続く
木工の文化
野首木工所がある郡上八幡は戦前、山から木を伐り出して薪や木炭を作る仕事を主な生業としていました。しかし戦後になると、軽油を燃料とするディーゼル車が出てきたことで薪炭の需要が減り、薪炭業が衰退していきます。そして、昭和30年頃に木を伐る仕事から、木を加工する木工に主要産業が代わっていきました。そうした時代の流れに沿うようにして野首木工所も始まりました。
創業者は藤田さんの曾祖父にあたり、祖父、父へとバトンが受け継がれてきました。4代目にあたる藤田さんは大学を卒業後、銀行に就職するもアメリカへのワーキングホリデーを機に退職し、一時渡米。その後地元に戻って結婚の末、野首木工所に入社しました。入社前の経験はもじ積み木のデザインにも大いに活かされています。
「海外の友だちにもじ積み木をプレゼントできたらなと思って英語を入れました。海外で売られているアルファベットの積み木には、薄くて平たいものってないみたいで、喜んでもらえますね。『あいうえお』が入っているのも文化の違いを感じられていいのかなと思います。それに、こうやって今までにない要素を加えて、新しいものを作っていくのが楽しいですね」
常に楽しいもの、新しいものを追及する藤田さんを支えるのは、工場長であり同い年の従兄弟。子どもも二人いるという境遇が似ているからこそ、子どものことを想いながら、二人三脚で新商品を生み出しています。さらに、藤田さん自身の家族にも、木工職人としての萌芽を感じさせるような出来事がありました。
常に楽しいもの、新しいものを追及する藤田さんを支えるのは、工場長であり同い年の従兄弟。子どもも二人いるという境遇が似ているからこそ、子どものことを想いながら、二人三脚で新商品を生み出しています。さらに、藤田さん自身の家族にも、木工職人としての萌芽を感じさせるような出来事がありました。
「(最初の息子が)2歳ぐらいの時に、私の父がスクリーン印刷をしている横で、木の板を取って、印刷台に乗せるっていう簡単な作業を手伝ってくれていたんですが、『じいじ!しごとっておもしろいんな!』って言ってくれたんですよ。息子たちには好きなことをしてもらいたいなと思うんですが、ものづくりの仕事をそういうふうに思ってくれていることがとてもうれしかったですね」
おもちゃとしてシンプルに遊ぶのもいいですが、こうした作り手の背景を思い浮かべながら積み木を手に取ってみると、また違ったものに見えてくるでしょう。そんな時間を楽しんでみるのもおすすめです!
- ●野首木工所さんとのオンライントークはこちら
- https://www.instagram.com/tv/COzYzmhAYFP/?hl=ja
- ●「グラデーション積み木」販売ページ
- https://hibi-ki.shop-pro.jp/?pid=154265207
- ●「郡上八幡積み木であそぼう normal」販売ページ
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