にっぽん 民藝 journey
# 7
ぽってりかわいい
伝統漆器
2021.2.24

日本の木を中心とする自然素材でつくられた民藝や日用品、その作り手を取り上げる「にっぽん民藝journey」。響 hibi-ki STOREで取り扱うアイテムの中から、とっておきの一品をピックアップ。今回は漆器の伝統技術がつまったお椀を紹介します。

写真:編集部、生産元/文:田中 菜月

業界の常識を飛び越えながら
実直につくり続ける職人たち

「しらさぎ椀 sibo」5,000円(税抜)
ピンク/グリーン/ベージュ/グレー

ぽってりとした色味とやさしい木の風合い。この組み合わせが印象的な「しらさぎ椀 sibo」は、絞漆(しぼうるし)という特殊な漆塗りの技法で仕上げられていて、上質な革のような、独特な手触りを持ちます。丈夫ですべりにくい点も、食器の機能性として欠かせない要素です。

このお椀をつくるのは、石川県・山中温泉のさらに山奥にある「白鷺木工」。3世代にわたって伝統工芸品の山中漆器を中心に、椀、盆、丸膳など丸い形の木の器(丸物木地)をつくり続けてきました。

電動ろくろや木工旋盤(せんばん)で木を削り、形を仕上げていく。

製造の各工程を分業することが業界の常識となっている中、白鷺木工では材料となる原木の仕入・木取り(材を必要な寸法に切ること)から仕上げまでを一貫して製作しています。国産の木だけを使った、本物の日本製を実直につくる稀有な工房なのです。

「上質な器を使いたい人に届けたい」と、職人による手加工と量産化のバランスを熟慮し、生産体制を試行錯誤してきました。すべては引き継がれてきた伝統工芸を絶やさぬため。時代とともに歩み、柔軟に形を変えながら、山中漆器を世に届けています。

「しらさぎ椀 sibo」販売ページ

田中 菜月 (たなか・なつき)
1990年生まれ岐阜市出身。アイドルオタク時代に推しメンが出ていたテレビ番組を視聴中に林業と出会う。仕事を辞めて岐阜県立森林文化アカデミーへ入学し、卒業後は飛騨五木株式会社に入社。現在は主に響hibi-ki編集部として活動中。仕事以外ではあまり山へ行かない。