今回も、元図書館司書でぎふ木育指導員の柴山佳江さんに、冬のおすすめ絵本を選書してもらいました。親子で読んでも、大人が読んでも楽しめる3冊を紹介します。
▼柴山さんインタビュー記事
https://hibi-ki.co.jp/hibikitours042/
美しい冬の森のすがた

『白い森のなかで』
文:ロバート・フロスト
絵:スーザン・ジェファーズ
訳:おざき さえこ
出版社:ほるぷ出版
詳細:https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001604779
柴山さんコメント:
私にとってはアメリカの谷川俊太郎的存在であるロバート・フロストの詩と、美しい冬の森の姿が描かれたイラストが楽しめる一冊です。詩って、さまざまな解釈ができるから、読むたびに違った捉え方ができるし、何回読んでも飽きないんですよね。それに、この本は絵をぼーっと眺めるだけでもいい。私は冬になると読みたくなります。登場人物のおじいさんを見守る、森の中の生きものたちもかわいくて素敵なのでぜひ見てほしいです!
あなたのまちの
夕暮れはどんな色?

『ゆうぐれ』
作:ユリ・シュルヴィッツ
訳:さくま ゆみこ
出版社:あすなろ書房
定価:1,650円(税込)
詳細:https://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/info.php?isbn=9784751527139
柴山さんコメント:
“夕暮れ”を表現するとき、どんな色を使いますか?おそらく、ほとんどの方がオレンジ色を使うと思います。でも、それは日本人の感覚なんだ、ということを絵画教室の先生に教えてもらいました。というのも、ヨーロッパでは紫色を使うそうなんです。そんな西洋の夕暮れを味わえるのがこの絵本。オレンジと紫の色使いがとってもきれいで、大好きな一冊です。本の中では、日暮れがはやくなった、ある町の夕方から夜にかけての情景が描かれています。光と影のコントラストも味わい深いですよ。
冬は何をして
過ごそうか?

『ふゆのあとには はるがきます』
作:石井睦美
絵:あべ弘士
出版社:アリス館
定価:1,650円(税込)
詳細:https://www.alicekan.com/books/8455/
柴山さんコメント:
雪が降り積もる北国の様子が描かれていて、人間や野生動物たちがそれぞれどんなふうに過ごしているのか、ページをめくるたびに楽しめる絵本です。北海道在住で、かつて旭川動物園の飼育係を務めていたこともある、あべ弘士さんの絵がとにかく素敵なので見てほしいですね。中でも好きな絵は、“根開き”の様子を描いたもの。樹木の根元だけ雪解けして、ぽっかり穴が空いたようになる現象のことで、北海道の人たちは根開きを目にすると「もうすぐ春がくる」と感じるんだそうです。自分の知らない地域の風物詩を知れるのも絵本の魅力の1つだと思います。
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筆者にとっては寒さに囚われがちな冬ですが、柴山さんにおすすめしてもらった絵本を手に取って読んでみると、これまでに見逃してきた美しい冬の光景が実はたくさんあったんだろうな、ということに気付かされます。今シーズンは外にも出かけて、新しい冬の味わい方を見つけたい。そんなことを感じたのでした。