制作の裏側や取材時の裏話など、編集部の日常をあれこれと綴っていく「ひビキのヒび」。今回はhibi-ki編集部が最近気になった、とあるインターネット調査の結果について紹介します。
都市部からの脱出
人の流れは農山村へ
情報収集をしていてふと目に留まったのが、「新しい日常における森林活用の意向調査」についての内容です。今年6月に20代~50代の男女 3200名に対して行われた調査で、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響が広がる状況下において、森林に対してどのような意向を持っているのかがまとめられています。
●主な調査結果
・ 屋外活動への関心が5割以上
・ 3密を避けたレジャー空間は「山」や「森」が人気
・ 4人に1人が農山村移住の意向あり
「3密を避けた屋外活動への関心」という項目では全体の51.3%が興味・関心を示し、「3密を回避できそうなレジャー空間」という項目では、「山」(48.2%)、「森」(43.0%)、「川」(35.5%)が上位を占めています。過去のデータとの比較があるわけではないので、森林空間やアウトドアの機運が高まっているとは言い切れませんが、週末のキャンプ場が例年以上に混み合っているというニュースなどを耳にすると、自然を求める人が増えているのかなと考えられます。
移住のカギは
テレワーク
農山村への移住・定住に興味を持っているのは全体の24.4%だそうです。
移住を希望する理由としては、「自然にあふれた魅力的な環境だから」(65.0%)、「都会に疲れた」(34.6%)、「子育てに適した自然環境」(23.7%)などが上位で、「コロナウイルスの影響を避けるため」は15.7%となっています。
さらに、移住を希望する人のうち、テレワークが可能になった場合は71.9%が移住の意向を示す結果となっています。場所にとらわれない柔軟な働き方ができるようになれば、“森で暮らす人”が増えていくことが予想できます。
もっとフレキシブルな働き方が当たり前の社会になって、今よりも自由に、好きなように生きることができる社会。そんな生き方を自分で選び取る時代がくるでしょう。そしてそれに向けた法整備や自治体の移住サポートの充実など、行政の施策にも期待したところです。地方創生の先に、林業をはじめとする森の仕事の活性化が見えてきます。
コロナ禍でテレワークを導入した企業が増えたとは言っても、それは全体から見ればごく一部で、実際に移住するとなると転職を検討する方が多いだろうと思います。では、その際にどのような業種を望んでいるのでしょうか。
移住希望者の回答では「農業」(39.7%)がもっとも多く、次いでサービス業などの「第3次産業」(23.8%)、「林業」(18.6%)、「IT・情報産業関連」(16.9%)、「再生可能エネルギー産業」(16.6%)など、かなりバラけた結果となっています。この「林業」を希望した人たちが、本当に林業に従事したら業界を取り巻く環境は変わるのではと、期待がふくらみます。
●調査結果の詳細はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000063944.html
これから増える?
がんばらなくていい移住
実際のところ農山村に仕事はあるのでしょうか。そもそも第3次産業があるのか、IT・情報産業のノウハウが活かせる場はあるのか、かなり調べないとわかりません。それに移住系の媒体を見ると、おしゃれなカフェを開いたり、IT関連で起業したりしている人が取り上げられていて、それはそれで頑張らないと暮らせないハードルの高さを感じませんか?なんとなく移住はしてみたいけれど、お金のことや地域の選定など具体的なことを考え始めると「現実的に移住は難しそう」と思ってしまいます。
でも、それで諦めてしまうのはもったいないです。マイペースに淡々と暮らす人もいるし、自分にもできそうだと思える働き方があります。行政の手厚い支援を活用すれば移住に必要な資金をまかなうことも可能です。今はまだ知られていない地域でも、快適な生活の場をつくっていこうと変わりはじめている地域もあります。
つい重く考えがちですが、ふらっと気軽に移住したくなるような、のんびりした暮らしの形を考えてみたい。先日はじまったばかりの連載「hibi-ki的、がんばらなくていい移住」では、hibi-ki独自の目線で移住を考えています。そしてそれは、“森で自由に生きる”にちょっとでも近付くことになるんじゃないかと思っています。まだ公開されたばかりで記事の数は少ないですが、編集部の目に留まったおすすめ地域を少しずつ掲載していきます。乞うご期待ください!